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『魂の紀行』 別章 キョウヨアケタゼヨー2

 
< ♪ ポケットを叩くと・・・ >
 

「ホント、
 変わった子だったよねぇ」
 

母がよく言う言葉です。
 

「どんなふうに変わってたのさ?」
 

「なんて言ったらいいか
 ・・・ヘンな子だった」
 

誰に訊かれても、
母は迷わずそう言います(笑)
 

で、どんなふうに変わっていたかを
母に成り代わって説明すると

「不思議なことを言う子」

だったようです。
 

例えばこんな話。
 

あれはまだ
保育園に上がる前のこと。
 

お客さんからいただいた
立派な缶入りのクッキー。
 

それを大事そうに抱えた
可愛い子供。

(私のことですよー)
 

今から40年も前なので
クッキーなどと言うものは
それはもうたいへんな貴重品でした。
 

そこで、

「食べても、また
 その分が増えるといいなぁ」

と想いながら、
1個食べた後でフタをして
また開けてみました。
 

この時、
きっと増えるだろう、と
とても素直に想った記憶があります。
 

すると・・・
やはり食べた分が
ちゃんと増えているではありませんか。
 

「やっぱり増えるんだ!
 じゃあ、もう1回」
 

1個食べて、
またフタをして開けると・・・

やっぱりまた
元通りの数に増えています。
 

いったい何度
繰り返したでしょうか。
 

かなりの数を食べたはずが、
クッキーはいっこうに減りません。
 

お腹がいっぱいになったところで
さっそく母に報告しました。
 

「あのね、このクッキー、
 フタをしてから開けると
 また元通りになるんだよ」
 

その時の母の反応は、
はっきりと覚えていないのですが、
おそらく

「そんなこと、
 あるわけないでしょう」

的なことを
言われたのではないかと思います。
 

と言うのも、
それ以降は、食べた分だけ
しっかり減るようになってしまったから。
 

想ったことが形に反映されやすい分、
大人の否定的な言葉も
しっかりとインプットされてしまったのでしょうね。
 

もし、あの時

「そうなの?
 お母さんにも見せて!」

と言われていたら、

それからずっとクッキー食べ放題の生活が
続いていたかもしれないのに・・・(笑)
 

 ♪ポケットを叩くと、
  ビスケットが2つ
  もうひとつ叩くと、
  ビスケットが3つ♪
 

これはきっと、
作者のまどみちおさんが
実際に体験したことだったんじゃないでしょうかねぇ。
 
 

さらに同時期のエピソードをもう1つ。
 

いつもお氣に入りの「昆虫図鑑」を
眺めていた昆虫大好きの周平少年。
 

特に「ナナフシ」という昆虫には、
とても興味を持っていました。
 

細いからだに長い手足、
そして身を守るために進化した
という木の節に似た関節。

(擬態(ぎたい)というそうです)
 

その端麗な容姿に
好奇心が沸き立ちました。
 

「実物を観てみたいなぁ」
 

いつにも増して
そんなふうに想いながら
眠りについた翌日。
 

友達と一緒に、
実家のすぐ前にある
中学校のグランドで
バッタを探していた私は

「もしかしたら、
 ナナフシも見つかるんじゃないかな?」

と想いながら
一瞬目を閉じました。
 

次の瞬間、
半ズボンの太ももあたりで
何か違和感が・・・。
 

「ん?・・・」
 

目を開けると、
あのナナフシが
足にとまっていました。
 

「おおっ、
 やっぱり想ったら出てくるんだよ」
 

友人たちのことはすっかり忘れて(笑)
足にくっついているナナフシと一緒に帰宅。
 

その後、
誰にナナフシのことを話したのか、
そのナナフシはどこへ行ったのか、
まったく覚えていないのですが、

憧れのナナフシに出逢えた感激だけは、
しばらく残っていたように思います。
 

後日、
ナナフシは熱帯から温帯にのみ生息し、
北海道にはいない昆虫だ
ということがわかりました。
 

私の「人生ナナフシ・ギ」の1つです。
 
 

「食べても減らないクッキー」
 

「北海道にいるはずのない
 ナナフシの出現」

 
どちらにも共通していたことは

「まったく疑いがなかったこと」

そして

「そのことに強い執着がなかったこと」
 

「こうなったらいいなぁ」

くらいのユルさと
素直な氣持ち。
 
 

「想ったことは、あらわれる」

という幼少期の体験は、
今もたいせつなベースになっているのです。
 
 
 

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