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『魂の紀行』 第2章 エジプトでの御神事・本編(前編)-4

 
2013年9月14日。
 エジプトで、初めての朝を迎えました。

 窓の外から見えるのは、ナイル川の向こうにある「王家の谷」。
 今日これから訪れるところです。
 
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< 王家の谷 >

 昨日訪れた2つの神殿があるナイル東岸は、
 日が昇ってくる方向であることから「生者の都」「神の都」と呼ばれています。

 いっぽうの西岸は、日が沈む方向である「死者の町」。
 歴代のファラオたちが葬られている「王家の谷」はこちら側です。
 
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 王家の谷では、63の墓が発見されているうちの4箇所で祈りを捧げました。

 静寂に包まれた空間全体に漂う、歴代ファラオの想いとしばし交流。

 この場所では、どうやらファラオのスピリットを感じとることで、
 今回の「祈りの旅」に必要な「何か」を与えてもらったようです。

 昨日のカルナック神殿で観えた「大」のようなマークが、何度も浮かんできました。
 
マーク(大)

< ハトシェプスト女王葬祭殿 >

 エジプトの遺跡には、神殿と葬祭殿という2つの種類があります。

・神殿   
 古代エジプト人が「神の館」「神の家」と呼んでいた神々が住む場所。

・葬祭殿  
 ファラオ個人の礼拝用建造物。来世での生活と再生復活のための場所。

 ハトシェプスト女王葬祭殿 は、
 エジプト初の女王であるハトシェプストのために
 広大な岩山を利用して建てられたとりわけ神聖なものとされています。
 
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 ここもまた、私たちの他に観光客は皆無。

 他の遺跡と同様に祈りを捧げようと思ったところで、
 Yさんが何かを感じ取りました。

「・・・人の氣配がする。」

「あれ?獣臭(けものしゅう)もしてきた・・・」

 Tちゃんも、いつもとは違う「何か」を感じているようです。

 Rちゃんが口を開きます。

「ここは、ルクソール事件といわれる無差別テロが起きた場所なの・・・。」

 1997年、日本人を含む観光客61名の尊い命が犠牲になった痛ましい事件。

 私たちは、鎮魂の想いを込めて祈り始めました。

 最初は少し重苦しく感じていた雰囲気が少しずつ軽くなり、
 風がサラサラと音を立てるように流れていきます。

「この場所に来たのは、慰霊の祈りを捧げるというご縁があったみたい・・・。」

 Yさんが観えたビジョンでは、たくさんの光が天に還って行ったそうです。

「あ、獣臭が消えてる!!」

 Tちゃんの言葉を裏付けるように、やさしい風が吹き抜けました。
 
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 人は、からだとこころ、魂から成る存在。

 そして、魂はこの世において、
 からだとこころという制約付きの「社(やしろ)」を借りて、
 魂だけでは経験できないさまざまな事象を体験します。

 こうした場所で鎮魂の祈りをさせていただく時

「どんなに理不尽だと思われるような亡くなり方をしても、
 それはもしかしたら、本人の魂があらかじめ学びの一環として
 組み入れていた今世でのプロセスなのかもしれない」

 と感じることがあります。

 今世に遺された方々の心情を想うと、
 本当にやりきれない想いも募りますが、
 既に昇天された魂からは

「どこにも向けようがない嘆きや悲しみさえも、
 魂の成長のためにあらかじめ約束してきたこと。
 これも、深遠なる神の愛の現れなのです」

 というメッセージをひしひしと感じるのです。

 Yさんの観た「たくさんの光が天に還って行った」というビジョンは、
 魂だけになった存在と遺された方々との間にあった
 嘆きや悲しみなどの様々な想いが昇華した姿だったのかもしれません。

 私たちは大いなる存在の愛に見守られながら、
 人智では計り知れない深遠なプログラムの中で、
 魂の成長・進化を経験している・・・。

 ハトシェプスト葬祭殿での祈りを通じて、
 私たちはあらためて、この旅が「魂の旅」であることを再認識したのです。
 
エジプトSP2-030
メムノンの巨像とエネルギーの交流をするSちゃん。
建造者は、新王国時代の王アメンホテプ3世と云われています。